「終活はもっと先の話だと思っていたけれど、そろそろ考えなきゃ……」
60代に入ってそう感じ始めた方も多いのではないでしょうか。定年や退職、体調の変化、親の相続を経験したことをきっかけに、自分の「その時」に備える必要性を感じる年代です。
終活は不安な未来を整えるための準備であり、残された人生をより良く生きるための第一歩でもあります。
本記事では、60代で本格的に始めたい終活のポイントと、後悔しないための準備方法をわかりやすく解説します。
60代は終活を始めるベストタイミング

終活は「まだ先の話」と思われがちですが、実際には60代で意識・行動を起こす人が増えています。
楽天インサイトが2024年3月に実施した「終活に関する調査」では、20〜69歳の男女1,000名を対象に「終活をしている、または始める意向があるか」を尋ねた結果、
全体の約7割(69.8%)が終活への意向ありと回答しました。
特に60代では「すでに実施している」が16.0%、「近いうちに始める予定」が19.0%と、
他の年代よりも突出して高い数値を示しています(全体平均はそれぞれ6.3%・6.2%)。
この結果から、60代は“終活を現実的な課題として捉え、行動に移し始めている世代”であることが分かります。
参考:楽天インサイト「終活に関する調査」(2024年3月4日公開)
60代に入ると変わるライフステージと終活の必要性
60代は仕事を引退する人も多く、人生の大きな節目を迎える年代です。
時間や心に余裕が生まれ、「自分の人生をどう締めくくるか」を考えるゆとりも出てきます。
また、親世代の相続や葬儀を経験し、自分の終活も無視できないものとして意識し始める人も少なくありません。
70代以降では難しくなることも|元気なうちに準備を
年齢を重ねるにつれて、判断力や体力は徐々に衰えていきます。
介護や医療の選択が必要になる前に、自分の希望を整理し、家族と共有しておくことがとても大切です。
60代は、まだ元気なうちに主体的な選択ができる貴重な時期と言えるでしょう。
60代で後悔しないために準備したい終活の5つのこと

エンディングノートで意思を明確にする
エンディングノートは、自分の人生の記録や希望を自由に残すツールです。
医療や介護、葬儀の希望、家族へのメッセージなど、形式にとらわれず書けるのが特徴です。
「書くことが多くて大変」と思わず、書けるところから始めましょう。
内容は何度でも見直してOKです。
デジタル遺品の整理とアカウント管理
写真、動画、SNS、クラウド上の文書など、いわゆる「デジタル遺品」は急増しています。
スマートフォンやPCに保存されているデータや、銀行・証券口座のログイン情報も家族が知らなければアクセスできません。
信頼できるパスワード管理ツールや紙の一覧表を活用し、安全な場所にまとめておくことが推奨されます。
財産・保険の棚卸しと一覧化
相続を円滑に進めるためには、財産の全体像を明確にしておくことが重要です。
預貯金・不動産・保険・株式などを一覧にしておくことで、相続人の負担を大きく減らすことができます。
同時に、保険内容の見直しも行いましょう。
保障内容が現状に合っているか確認することで、無駄な支出を減らすことにもつながります。
遺言書の作成を検討する
法的効力を持たせたい場合には、「遺言書」の作成が必要です。
特に、相続人以外に財産を残したい場合や、家族関係が複雑な場合には、公正証書遺言の作成を検討しましょう。
行政書士や司法書士への相談も視野に入れると安心です。
葬儀やお墓について考えておく
「葬儀は簡素にしてほしい」「海に散骨してほしい」など、自分の希望があるなら元気なうちに明確に伝えておくべきです。
また、お墓についても「先祖代々の墓に入るのか」「納骨堂を選ぶのか」「墓じまいをして永代供養にするのか」など、選択肢は多様化しています。
60代で終活を始める前によくある不安と解決策

「自分の考えが変わったらどうするの?」
終活は一度きりの作業ではなく、人生の変化に応じて見直していくものです。
エンディングノートも遺言書も、内容の更新や書き換えが可能なので、最初から完璧を目指さず「今の自分の考え」を残しておくことが大切です。
「子どもに心配されそうで言い出しにくい…」
「終活」という言葉に重さを感じてしまう家族もいます。
そんな時は、「元気なうちに、家のことを整理しておきたくて」といった伝え方がおすすめです。
エンディングノートの存在を軽く紹介するだけでも、自然な話題にできます。
よくある質問
Q1. 今、60代だけど「早すぎるかな?」と思うのですが。
A. 実は、60代は「元気なうちに主体的に準備できる最後のタイミング」と言われます。同世代でも実施・実施予定の割合が高く、早めに始めることで家族の負担も軽くなります。
Q2. エンディングノートはいつ・どこまで書けばいい?
A. 完璧を目指さず「今の自分の考え」を残すことが大切です。エンディングノートは後から更新・書き直しが可能なので、まずは書けるところから始めましょう。
Q3. 遺言書を書かないとダメですか?
A. 法的効力を持たせたい場合には「遺言書」が必要です。相続人以外に財産を残したい、ご家族関係が複雑といったケースでは、公正証書遺言の作成や専門家(司法書士・行政書士)への相談をおすすめします。
Q4. デジタル遺品って何を整理すればいい?
A. 写真・動画・SNS、クラウド上の文書、銀行・証券口座のログイン情報などが該当します。パスワードやアカウント情報を一覧化し、安全な場所に保管しておくと安心です。
Q5. お墓・葬儀の準備は何を決めておくべき?
A. 葬儀の規模・形式・参列者・費用の範囲、入るお墓(先祖代々墓/納骨堂/散骨など)をあらかじめ整理し、家族へ希望を共有しておきましょう。
まとめ|60代から前向きな終活を始めよう
60代は、終活を「考える」だけでなく「行動する」年代です。
健康なうちにエンディングノートを記入し、財産やデジタル情報を整理することで、将来の安心と家族への思いやりを形にできます。遺言書の検討や葬儀・お墓の意向も、今だからこそ自分の意思で選べるのです。
まずはできることから。無料テンプレートなども活用して、今日から一歩を踏み出してみましょう。
okusokuでは、終活や相続、デジタル遺品整理に関する情報を、正確でわかりやすくまとめています。読者の方が「迷わず次のステップに進める」「家族と安心して話し合える」ように、実用的で保存して役立つコンテンツづくりを心がけています。




