LINEは日本で最も利用されているメッセージアプリです。
家族や友人との連絡手段として多くの人が日常的に使っており、トーク履歴には何年分もの思い出や大切な記録が残っています。
しかし、本人が亡くなった後、LINEアカウントはどうなるのでしょうか。
「親のスマホにLINEが残っている」「トーク履歴を家族として読めるのか」「アカウントは放っておいて大丈夫?」――こうした悩みを抱える遺族は少なくありません。
LINEは他のSNSと違って、AppleやGoogleのような公式の死後引き継ぎ機能が明確には用意されていません。
事前の備えがないと、遺族は対応に困ってしまいます。
この記事では、LINEアカウントの死後の扱い、遺族が行える手続き、そして本人が生前にできる備えまで、順を追って解説します。
目次
LINEアカウントは死後どうなる?基本の仕組み

LINEアカウントの死後の扱いは、他のサービスとは少し違う特徴があります。
まずは基本を押さえましょう。
LINE公式のセーフティセンターでは、遺族向けの対応について次のように案内されています。
LINEアカウントは、そのアカウントを作成されたご本人に限りご利用いただけるものです。そのため、ご遺族であっても故人のアカウントを引き継ぐことはできません。亡くなったご家族のアカウントの削除をご希望される場合は、お問合せフォームよりお問合せください。利用者が亡くなった場合の手続きは必須ではありません。特に何も手続きしない場合は、そのままアカウントが残る場合もあります。
この公式案内を軸に、具体的に何が起きるのかを順に見ていきます。
自動的には削除されない
LINEアカウントは、本人が亡くなっても自動的に削除されることはありません。
放置されたアカウントはそのまま残り、友だちリストにも表示され続ける状態になります。
そのため遺族が気づかないまま、故人のアカウントが長年そのままになっているケースも珍しくありません。
家族であっても第三者の利用は認められていない
LINEヤフー共通の利用規約では、アカウントは本人に専属するものとされ、第三者による利用や相続は認められていません。
パスワードや電話番号がわかっていたとしても、家族が故人のアカウントにログインして使用することは、規約上のルールに反する行為にあたります。
またLINEには二段階認証や本人確認のしくみがあり、他端末からのログインには追加認証が必要になる場合もあります。
無断で使ってしまうと、なりすましと判断されてアカウントが凍結されることもあるため、慎重な対応が求められます。
「電話番号」の管理が最大の壁になる
LINEでの最大の注意点は、アカウントが電話番号と強く紐づいている点です。
故人の携帯電話を解約してしまうと、その電話番号は一定期間後に他の人に割り当てられます。
新しくその電話番号を取得した人がLINEに登録すると、故人のアカウントが上書きされ、トーク履歴や写真にアクセスできなくなるおそれがあります。
携帯の解約タイミングとLINEの対応は、必ずセットで考える必要があります。
| ① 何もしない(✕) | ② 遺族が削除申請(△) | ③ 生前対策あり(◎) |
|---|---|---|
|
|
|
| 遺族が困る状態 | 書類負担が大きい | 遺族の負担が最小 |
故人のLINEアカウントを整理するため、遺族が行える手続きを見ていきましょう。
LINE公式の問い合わせフォームから申請する
LINEには「お問い合わせフォーム」があり、そこから故人のアカウント削除を申請できます。
アカウント削除の申請自体は遺族からでも受け付けられる場合がありますが、実際に手続きが進むかどうかは、LINE社の審査によります。
申請時には、本人との続柄を確認できる書類や、死亡を確認できる書類などの提出を求められるケースがあります。
具体的な必要書類や審査基準はLINE側の運用で変わる可能性があるため、申請時の最新案内を必ず確認してください。
書類準備に不安がある場合は、行政書士などの専門家に相談することも一つの選択肢です。
トーク履歴や写真の「遺族への提供」は明確に案内されていない
ここが重要なポイントです。
現行の公式ヘルプでは、遺族向けにトーク履歴や写真を提供する手続きは明確に案内されていません。
実務上は、本人の端末に残るデータの確認や、生前バックアップの有無が重要になります。
LINE公式のヘルプでは、トーク情報は端末内のLINEアプリに保存され、復元にはあらかじめ設定したバックアップが必要だと案内されています。
標準のバックアップ先はiPhoneならiCloud Drive、AndroidならGoogleドライブで、保存対象はテキストを中心としたトーク情報です。
つまり、故人のトーク履歴を残したい場合、生前に本人がバックアップ設定をしていたかどうかが決定的な意味を持ちます。
友だちへの通知は自動では行われない
LINEアカウントが削除されても、友だちに「〇〇さんが亡くなりました」といった通知は送られません。
友だちリストから消える、あるいはトーク画面に「メンバーがいません」と表示されるなどの変化が起こる程度で、死亡を知らせる機能はありません。
身近な方への連絡は、LINEとは別の手段で丁寧に行う必要があります。
パスワード・電話番号がわからないときの対処法

遺族がLINEの手続きで最も困るのが、「ログイン情報がわからない」というケースです。
電話番号を解約する前にやっておくこと
故人の携帯電話を解約する前に、以下を確認しておくと後の対応がスムーズになります。
- SIMと端末を物理的に保管する:スマホ本体と、差さっているSIMカードをそのまま保管しておく
- LINEアカウントをどうするか家族で決める:残したいのか、削除したいのかの方針を家族で話し合う
- 本人のバックアップ状況を確認する:iCloudやGoogleドライブにトーク履歴のバックアップがあるかを確認する
携帯を解約してしまうと、LINEだけでなく多くのサービスの認証手段が失われます。
解約のタイミングは、他の手続きが落ち着いてからのほうが安全です。
関連記事として、故人の携帯電話の解約タイミングを解説した記事も参考になります。
本人のスマホにアクセスできる場合
スマホ本体のロックを解除できて、かつLINEがログイン状態のままであれば、以下の対応が可能になることがあります。
- 画面内のトーク履歴を写真で保存する
- 重要なやり取りをスクリーンショットで残す
- 大切な写真・動画を本人のスマホから保存する
ただし、家族であっても故人のアカウントで能動的にメッセージを送るのは避けましょう。
なりすましと判断されるリスクだけでなく、受け取った相手の心情にも配慮が必要です。
パスワード・PINがわからないときは専門業者も選択肢
スマホ自体のロック解除ができない場合、無理に操作するとデータが初期化されてしまう危険があります。
こうしたケースでは、デジタル遺品整理の専門業者に相談する選択肢もあります。
業者によって対応範囲や費用が異なるため、複数社に見積もりを取って検討するのが安心です。
生前にできるLINE終活対策

LINEは「本人が備えておくこと」で、遺族の負担を大きく減らすことができます。
トーク履歴のバックアップを設定しておく
iPhoneの場合はiCloud Drive、Androidの場合はGoogleドライブに、LINEのトーク履歴をバックアップする機能があります。
設定は「ホーム」→「設定」→「トーク」→「トークのバックアップ」から行えます。
自動バックアップをオンにしておけば、本人が意識しなくても定期的にトーク履歴が保存されます。
ただし、このバックアップは同じアカウントで機種変更する場合の引き継ぎを想定した仕組みであり、他人が閲覧する用途では使えません。
あくまでも「本人が残したい思い出を失わないための備え」と位置づけましょう。
ログイン情報・電話番号をエンディングノートに記録する
LINEに限らず、デジタルサービスの引き継ぎでは「ログイン情報の記録」が決定的に重要です。
- 登録メールアドレス
- 登録電話番号
- パスワード
- バックアップ設定の有無
これらをエンディングノートや、家族が見つけられる場所に残しておきましょう。
パスワードをどのように安全に残すかについては、専用の記事で詳しく解説しています。
家族に「LINE退会の意思」を伝えておく
自分が亡くなった後、LINEアカウントをどうしてほしいか――これを生前に家族に伝えておくのも終活の一部です。
- アカウントを削除してほしい
- トーク履歴は保存してから削除してほしい
- 写真や動画は家族で共有したい
意思が明確であれば、家族は迷わず動けます。
エンディングノートに「LINEについての希望」として1ページ割くのが効果的です。
| LINE終活チェックリスト | |
|---|---|
| □ | トーク履歴の自動バックアップをオンにしている |
| □ | 登録電話番号・メールアドレスを記録している |
| □ | スマホのロック解除PIN・パスワードを共有している |
| □ | アカウントを削除してほしいか意思表示している |
| □ | エンディングノートにLINE関連情報を記載している |
| □ | 携帯電話解約のタイミングを家族と話し合い済み |
サービス別|LINE関連機能の死後の扱い一覧
LINEには複数の関連機能があります。
それぞれの死後の扱いを整理します。
| 機能・サービス | 死後の状態 | 遺族の対応 |
|---|---|---|
| LINEアカウント本体 | 自動削除されず放置される | 申請により削除可能(審査あり) |
| トーク履歴・写真 | 端末内と本人のバックアップに依存 | 公式ヘルプに遺族向け提供手続きの明確な案内なし |
| LINEスタンプ・着せかえ | 本人アカウントへの利用権として付与 | 譲渡・相続は不可 |
| LINEコイン | アカウントに紐づくデジタルコンテンツ | アカウント削除とともに消滅 |
| LINEギフト未使用分 | 期限により失効の可能性 | サポートへ個別確認 |
| LINE VOOM(投稿) | 削除されるまで残る | アカウント削除で消える |
| LINE公式アカウント運営 | 管理者不在で放置 | 運営者変更または削除申請 |
よくある質問(FAQ)
Q. 故人のLINEに家族がログインしても問題ないですか?
LINEヤフー共通の利用規約では、アカウントは本人に専属し、第三者による利用や相続は認められていません。家族であっても故人のアカウントを使ってメッセージを送るなどの能動的な操作は避けましょう。本人のスマホ画面でトーク履歴を確認する程度にとどめるのが安全です。
Q. LINEアカウントを削除するとトーク履歴も消えますか?
LINE公式では、アカウント削除によりトーク履歴を含むすべてのデータが削除されると案内されています。残しておきたい内容がある場合は、削除前に端末上で確認・保存が必要です。スクリーンショットでの保存や、端末内のトークルームでの確認を忘れずに行いましょう。
Q. 故人のスマホを解約したらLINEはどうなりますか?
電話番号の解約だけではLINEアカウントは自動削除されません。ただし、同じ電話番号が別の人に割り当てられ、その人がLINEを登録すると故人のアカウントが上書きされる可能性があります。LINEの整理は携帯解約の前後で判断しましょう。
Q. 故人のトーク履歴は遺族がダウンロードできますか?
現行の公式ヘルプでは、遺族向けにトーク履歴や写真を提供する手続きは明確に案内されていません。本人の端末に残っているデータや、生前に設定されたバックアップの有無で対応が変わります。
Q. 「故人アカウント管理連絡先」のような機能はLINEにもありますか?
2026年時点で、LINEにはAppleの「故人アカウント管理連絡先」やGoogleの「アカウント無効化管理ツール」のような公式の死後引き継ぎ機能はありません。そのため、本人が生前にログイン情報を家族に残しておくことが最も重要になります。
Q. 海外在住の家族が手続きするときに困ることは?
書類の翻訳や公証が必要になる場合があります。また、LINEからの確認連絡に対応できるよう、日本語で連絡が取れる家族や代理人を用意しておくとスムーズです。
まとめ|LINEは「本人の備え」で遺族の負担が大きく変わる
LINEは他のサービスと違い、死後の公式な引き継ぎ機能が用意されていないのが特徴です。
そのため、本人が生前にトーク履歴のバックアップ設定、ログイン情報の記録、家族への意思表示といった備えをしておくかどうかで、遺族の負担は大きく変わります。
遺族側も、携帯電話の解約タイミングや本人の端末に残っているデータの扱い、LINE特有の電話番号の紐づきといった注意点を知っておくことで、冷静に対応できます。
LINE以外のSNS(X・Instagram・Facebookなど)の死後対応もまとめて確認しておきたい方は、関連記事も参考にしてください。
デジタル終活全体の進め方や、他のデジタル遺品の整理方法については、以下の記事でも詳しく解説しています。
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