暗号資産(仮想通貨)は相続できるのでしょうか?
実は、ビットコインなどの暗号資産は、通常の財産と同じように相続の対象になります。
しかし、秘密鍵やパスワードが分からないと、資産が取り出せず「失われる」可能性もあります。
この記事では、暗号資産の相続手続きの流れや必要書類、相続税の考え方、生前にできる備えまでをやさしく解説します。
家族に確実に資産を残すために、いま知っておきたいポイントをチェックしましょう。
目次
暗号資産は相続できる?|法的位置づけと基本の理解
暗号資産は相続の対象になる
暗号資産は「金銭的価値のある財産」として、民法上の「相続財産」に含まれます。
国税庁の通達でも、相続税評価の対象とされており、遺産分割や税申告の際にも考慮されます。
相続できるが「アクセスできなければ無価値」に
秘密鍵やウォレットのパスワードが分からなければ、暗号資産は実質的に取り出せません。
相続財産として法的に扱われても、アクセス情報がなければ資産は消失したも同然です。
暗号資産の相続手続きの流れ
相続財産として申告が必要
暗号資産も他の財産と同様に、相続開始後に財産目録に加えて申告する必要があります。
取引所の残高証明書や時価評価も必要です。
取引所のサポートを受ける手続き
国内の暗号資産交換業者(例:bitFlyer、Coincheckなど)では、死亡後の名義変更・出金手続きに応じています。
主な提出書類は以下の通りです。
- 死亡診断書の写し
- 戸籍謄本(相続人確認)
- 遺産分割協議書
- 相続人の本人確認書類
提出書類や流れは各取引所によって異なるため、公式サポートページで確認することが重要です。
相続税と暗号資産|評価・課税のポイント
時価で評価される
暗号資産の評価額は「被相続人の死亡時点における時価」とされます。
多くの場合、死亡日の終値(または近似日)を基準に、国内取引所の価格で換算されます。
相続税はかかるが特別控除はなし
暗号資産には特別な控除制度はなく、現金や有価証券と同様に相続税の課税対象になります。
ただし、納税資金に換金しづらい、相場変動が激しいといった特徴があるため、税務上の取り扱いには注意が必要です。
生前に備える|暗号資産を「遺せる」状態にしておくには
秘密鍵やアクセス情報を安全に共有
もっとも重要なのは、秘密鍵・ウォレット情報・取引所ログイン情報を相続人が分かる形で残すことです。
情報を紙で書き残す・パスワードマネージャーを活用するなど、方法は複数あります。
遺言書やエンディングノートへの記載も有効
「誰に、どの資産を、どの方法で渡すか」を明記することで、争いや混乱を回避できます。
デジタル遺産に対応したエンディングノートや、遺言書作成もおすすめです。
トラブル回避のポイント|よくある失敗例と対策
秘密鍵が見つからず資産が消失
実際に、数百万円以上の暗号資産がアクセス不能となり、失われたケースも報告されています。
紙のメモの紛失やパスワードマネージャーのログイン忘れなどが原因です。
取引履歴が分からず税務申告に支障
取引記録がないと、評価額の算定が困難になります。
取引履歴はPDFなどでダウンロードし、定期的にバックアップしておきましょう。
専門家やサービスの活用方法
デジタル遺品に詳しい士業のサポート
暗号資産に精通した弁護士・税理士であれば、相続手続きだけでなく税務対応・法的アドバイスも受けられます。
早い段階で相談することで、大きな損失やトラブルを防げます。
デジタル資産管理サービスの活用
資産情報を記録・共有できるアプリやサービスも登場しています。
情報の保管・開示のタイミングを指定できるものもあり、生前準備に役立ちます。
まとめ|暗号資産も「引き継ぐ備え」が重要
暗号資産は相続財産として扱われ、相続税の課税対象になります。
アクセス情報がなければ、法的に相続されても実質的に資産は消失するため、取引所のサポートや必要書類を知り、事前に準備しておくことが重要です。
生前の小さな備えが、大切な資産を守ることにつながります。
今のうちに、自分の暗号資産を家族が引き継げるか、ぜひ見直してみてください。