これからの終活は、紙の書類だけでなく、デジタルの整理こそが家族への思いやり。
この記事では、終活に必要な基本知識と、スマホやPCなどデジタル遺品の備えまで、まとめて解説します。
初心者でも取り組みやすいチェックリスト形式で、今日から無理なく始められます。
終活は“人生の棚卸し” なぜ今から始めるべき?
終活は「これからの暮らしの整理」
終活は亡くなる準備ではなく、これからの暮らしを自分らしく生きるためのステップです。
持ち物や想い、生活の見直しを通して、自分自身を再確認する機会にもなります。
元気なうちだからこそ進めやすい
判断力や体力があるうちに進めることで、スムーズに準備ができます。
後回しにすると、急な病気やトラブルで思うように動けなくなることも。
家族の負担を減らすことにつながる
終活をしておくと、遺された家族が「何をどうすればいいのか」で悩む必要がなくなります。
大切な家族の金銭的・心理的な負担の軽減につながります。
デジタル時代の終活準備完全ガイド(10のチェックリスト)
1. 財産の棚卸しと資産管理
まずは自分の持っている財産を把握することから始めましょう。
通帳・証券・クラウドに保存したファイルやデジタル通貨など、目に見える財産も、見えにくい財産も洗い出して、一覧にまとめるだけでも心の整理になります。
2. 相続・遺言の準備
残された家族が迷わないように、相続の方針や遺言を準備しておくと安心です。
法的に有効な遺言書の作成も視野に入れましょう。
- 自筆証書遺言や公正証書遺言の作成を検討
- 相続人と相続割合、遺贈希望者の明記
- 遺言執行者(手続きを担う人)の指名
- 生前贈与や相続税対策の基本確認
3. 医療・介護に関する希望の整理
どんな治療を受けたいか、どこで介護を受けたいか。
救急時や認知症の進行時にも家族が判断しやすいように、万が一に備えて希望をあらかじめ記録しておくことが大切です。
- 延命治療、人工呼吸器、輸血の希望
- 認知症・寝たきりに備えた介護方針
- 施設介護・在宅介護の希望と費用感
- 家族への連絡・意思決定の委任者も記録
4. エンディングノートの作成
紙でもアプリでも、家族が見やすく探しやすい形で保管・共有しておくことが大切です。
形式にとらわれず、自分の想いや希望を書き記せるのがエンディングノート。
まずは1ページでも書いてみるのがおすすめです。
- 医療・介護・葬儀・相続の希望を記録
- 家族や友人へのメッセージ欄の活用
- 交友関係・連絡先・写真の記録
- 保管場所と家族への共有方法も検討
5. 葬儀・お墓の希望整理
大切な人たちに自分の意向を伝えるために、葬儀の形式やお墓の場所について、簡単にでも考えておくと安心です。
- 葬儀の希望(家族葬・直葬・お別れ会など)
- 宗教形式や音楽・読経の有無
- 遺影や遺品の取り扱い方針
- 墓地・納骨堂・樹木葬・散骨など選択肢
6. デジタル遺品の整理
写真、サブスク、ネット銀行…残されると家族が一番困るのがここ。必ず備えておきたい項目です。
整理しておくべき代表的なデジタル遺品
スマホやPCに保存されたデータは“見えない遺品”とも言われ、死後のトラブルになりやすい分野です。以下のような項目は、生前のうちに把握・整理しておくことをおすすめします。
項目 | 内容例 |
---|---|
SNSアカウント | X(旧Twitter)、Instagram、Facebookなどの投稿、メッセージ履歴、DMなど |
ネット銀行・証券 | 楽天銀行、住信SBIネット銀行、楽天証券、SBI証券など。残高・ログイン情報・2段階認証設定も含む |
有料サブスクリプション | Amazon Prime、Netflix、Spotify、iCloud、Google Oneなど。自動課金に注意 |
クラウドデータ | Google Drive、Dropbox、iCloud、Evernoteなど。写真・メモ・各種ファイルの保管場所として要確認 |
デバイス | スマートフォン・PC・タブレット。パスコードやロック解除方法は必ず記録を残すこと |
準備しておくべきこと(チェックリスト形式)
- ログイン情報の記録
主要アカウントのID・パスワード・認証手段(SMS/認証アプリ)を一覧表にして保管。 - 使っていないアカウントの整理・削除
放置されたSNSやサブスクは、トラブルや費用発生の原因に。削除・解約・退会を進めておく。 - デジタル資産のバックアップと明記
大切な写真、動画、文章ファイルなどは、1か所にまとめて「保管場所」「内容」「伝える意志」をメモしておく。 - 「見られたくない情報」の処分・管理
日記、過去のメッセージ、個人的な趣味データなど、消しておきたいものは整理しておく。 - アカウントの削除希望や代理人の指定
Google・Apple・Facebookなどは「死後の管理設定」が可能。
→ 指定した人が削除/保存できるよう事前に設定を済ませる。
7. 保険や年金の確認
どんな保険に入っているか、年金はどのくらいもらえるか。
紙の書類やWebのアカウントを見直して、まとめておくとスムーズです。
- 生命保険・医療保険・介護保険の契約内容
- 保険証券の保管場所と受取人の確認
- 公的年金(基礎・厚生・共済)と企業年金の把握
- 年金受取口座と相談窓口のメモ
8. 老後資金の見直し
生活費や医療・介護にかかるお金をざっくり計算しておくだけでも、老後の安心感がぐっと高まります。
- 月ごとの生活費(食費・住居費・光熱費など)
- 医療費・介護費の平均的な備え
- 突発的支出(家電・葬儀・引越しなど)
- 保険や通信費などの固定費見直し
9. 持ち物・住まいの整理(生前整理)
物が多いと、いざというときに整理が大変。
「本当に必要かどうか」を一つひとつ見直すことで、気持ちもすっきりします。
- 使っていない家電・家具の処分
- 衣類・書類・趣味用品の整理
- 思い出の品・写真の保管とラベル付け
- 遺品整理業者やリサイクルも検討
10. やりたいことリストの作成
終活は“人生を振り返る”だけでなく、“これからを楽しむ”ための時間でもあります。
これからやってみたいことを自由に書き出してみましょう。
- 行きたい場所・やってみたい趣味の記録
- 会いたい人・話したいことをリスト化
- 残したいメッセージ・動画や手紙など
- 「後悔しないためにやっておきたいこと」
自分らしい終活準備の進め方【3つのコツ】
できることから無理なく始める
完璧を目指す必要はありません。
まずは財産リストを作る、ノートを買うなど、小さな一歩から始めましょう。
家族や周囲と少しずつ共有する
終活は一人でするものではありません。
信頼できる家族や友人、専門家と情報を共有しておくと安心です。
迷ったら専門家に相談を
行政書士、司法書士、ファイナンシャルプランナーなど、終活に詳しい専門家のアドバイスを受けるのも有効です。
まとめ|終活は「今の自分」を見つめる大切な時間
終活は、これからの人生を自分らしく過ごすための準備でもあります。
すべてを一度に整える必要はありません。できることから、少しずつ始めてみましょう。
財産の棚卸しやエンディングノートの作成など、小さな一歩が家族の安心にもつながります。