故人が大切にしていた遺品を処分するには気が引けるけれど、手元に残しておくにも限界がある。
そんなときに選択肢となるのが「遺品供養」です。
単なる不用品処分とは異なり、心を込めて供養しながら整理することで、遺された家族の気持ちにも区切りがつきます。
この記事では、遺品供養の基本から費用の相場、自分でできる方法、業者に依頼する際のポイントまで、わかりやすく解説します。
目次
遺品供養とは?|処分との違いと目的

遺品供養とは「故人を想って整理すること」
遺品供養とは、故人が生前に大切にしていたものや仏具・人形などを、感謝や敬意をもって供養(供えたり、お焚き上げしたり)したうえで整理・処分することを指します。
不用品回収やゴミ処理では、感情的な整理や宗教的な配慮が欠けがちです。
遺品供養は「気持ちの整理」が大きな目的であり、宗教的儀式やお焚き上げによって、精神的な区切りをつけることができます。
遺品供養が必要とされる主なケース

仏壇やお守りなど「処分しづらい遺品」があるとき
遺品の中でも、仏壇・位牌・お守り・人形・遺影などは「そのまま捨てるのは気が引ける」と感じる人が多く、供養が望まれます。
故人への感謝や後悔を整理したいとき
感情的な意味でも、遺品供養は「ありがとう」「さようなら」を伝える機会になります。
心残りのあるまま片づけを進めるよりも、供養を通して前向きな気持ちで整理ができます。
遺品の種類別|供養方法と注意点

仏壇・位牌・仏具
- 魂抜き(閉眼供養)が必要:仏壇や位牌には魂が宿るとされるため、処分前に僧侶による魂抜きが必要
- 菩提寺に相談:まずは故人の菩提寺に相談、他の寺院でも可能
- 処分前に写真撮影:供養後に見返すことができるよう記録を残すことを推奨
衣類・アクセサリー
- 肌に直接触れていたものは特に丁寧に:下着や普段着は故人の気配が強く残る
- リサイクル可能なものは供養後に寄付:状態の良い衣類は供養後に福祉団体等への寄付も選択肢
- 高価なアクセサリーは査定後に供養を検討:価値のあるものは専門家による査定を受けてから判断
写真・手紙・日記
- デジタル化してから供養:大切な写真はスキャンしてデータ保存してから供養する方法もある
- 一部を形見として残し、残りを供養:すべてを処分せず、特に思い出深いものは手元に残す
- 個人情報に注意して処理:住所や電話番号などが記載されたものは情報漏洩に注意
人形・ぬいぐるみ
- 「魂が宿る」と考える人が多い品目:特に日本人形や雛人形は丁寧な供養が求められる
- 人形供養祭の利用:神社や寺院で年1-2回開催される供養祭への参加
- 製作者やメーカーでの引き取りサービス:一部のメーカーでは自社製品の引き取り・供養サービスを提供
遺品供養の費用相場
実際のお寺で公開されている供養料の目安として、宗隆寺(公式サイト)では次のように定められています。
| 内容 | 料金(税込) | 備考 |
|---|---|---|
| 封筒サイズまたは小箱 | 2,000円 | 約(たて+よこ+高=60cm)程度 |
| みかん箱1箱まで | 3,000円 | 約(たて+よこ+高=110cm)程度 |
| みかん箱より大きい箱 | 5,000円 | 1箱あたり |
| 特別供養 | 7,000円 | 1ヶ月間本堂で読経・ご氏名読み上げ |
| 位牌供養 | 1柱 3,000円 | |
| 神棚供養 | 1基 3,000円 |
※布団・寝具類は受付不可。
遺品供養サービスを選ぶときのポイント

遺品供養を業者に依頼する際は、「どこに頼むか」でその後の安心感や満足度が大きく変わります。
中には形式だけの供養や、追加費用を後から請求するような業者もあるため、信頼できるサービスを選ぶことがとても大切です。
ここでは、後悔のない遺品供養のために確認すべきチェックポイントを紹介します。
遺品供養業者を選ぶ際の7つのチェックポイント
- 供養証明書・報告書の発行があるか
- 料金体系が明確で追加費用の説明があるか
- 僧侶や神職との提携があるか
- 実際の供養現場の写真提供があるか
- 口コミや実績が確認できるか
- 遺品整理士などの資格保有者がいるか
- アフターサポート(相談対応)があるか
お焚き上げ証明書や供養の様子を記録した報告書を出してくれる業者は、信頼性が高い傾向があります。 依頼後の安心感にもつながるため、事前に確認しておきましょう。
また供養方法には宗派による違いもあります。故人の宗教・宗派が分かっている場合は、それに応じた対応ができる業者や寺社を選ぶことが望ましいです。
遺品供養に関するよくある質問(FAQ)
Q1. 遺品供養と遺品整理の違いは何ですか?
遺品供養は、故人の遺品に感謝を込めて供養やお焚き上げを行う行為を指します。
一方、遺品整理は、遺された家財を整理・処分・仕分けする作業全般のことです。
つまり、遺品整理の中に「供養」という心の区切りの工程が含まれるケースも多く、供養は“心の整理”、整理は“物の整理”と捉えると分かりやすいでしょう。
Q2. 供養のタイミングに決まりはありますか?
遺品供養に明確な決まりはありませんが、四十九日や一周忌などの法要前後に行う方が多いです。
気持ちの整理がついた時点で行うのが一番自然であり、「早すぎても遅すぎてもいけない」ということはありません。
無理に時期を合わせるよりも、家族が心穏やかに向き合えるタイミングを大切にしましょう。
Q3. 自分で供養することはできますか?
はい、できます。お寺や神社に依頼しなくても、自宅で手を合わせて感謝の気持ちを伝えることが立派な供養になります。
ただし、仏壇や位牌など宗教的な意味を持つ品は、僧侶や神職に魂抜き(閉眼供養)をお願いするのが一般的です。
人形や手紙、衣類などは、お清めの塩を軽く振ってから処分するなど、丁寧な扱いを意識することが大切です。
Q4. 業者に依頼する際に注意すべき点は?
まず、供養証明書や報告書を発行してくれるかを確認しましょう。
また、「供養」と称して実際は廃棄処分のみ行う業者も存在します。
口コミや実績、僧侶との提携有無を確認し、料金や追加費用の説明が明確な業者を選ぶことが安心です。
信頼できる業者を選ぶことで、後悔のない供養ができます。
まとめ|遺品供養は「気持ちの整理」の第一歩
遺品供養は、遺された人の心を整理し、故人との別れに区切りをつける大切なステップです。
心が納得する形で、大切な人との想い出を見送りましょう。
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