配偶者に先立たれた時、あなたは一人で全てを決められますか?
「まだ元気だから大丈夫」が最も危険な考え方です。
この記事では、子供がいない夫婦が直面する特有のリスクと、今すぐ始められる終活の実践ステップを、費用の目安とともに詳しく解説します。
目次
子供がいない夫婦が直面しやすいトラブルとは
子どもがいない夫婦にとって、配偶者を失った後に一人で重要な判断や手続きを担う状況は、想像以上に重いものです。
ここでは、実際に起きた事例をもとに、子なし夫婦が特に注意すべきリスクについて解説します。
ケース1:夫の突然死で残された妻(68歳)
「夫が急に倒れて、銀行口座が凍結。葬儀費用すら引き出せず、夫の兄弟に頼むしかありませんでした。その後の相続でもめて、今も話し合いが続いています」
ケース2:認知症になった夫を支える妻(74歳)
「夫が認知症になり、施設入所の判断を迫られました。でも成年後見人の申し立てには時間がかかり、その間私一人で全ての判断を…。もっと早く準備しておけばよかった」
子供がいない夫婦と一般家庭の終活、何が違うのか
- 頼れる人の違い
子どもがいないため、配偶者亡き後は完全に一人。兄弟姉妹も高齢で頼りにくい。 - 相続の複雑さ
兄弟姉妹、甥姪まで相続人に含まれ、トラブルの原因に。 - 供養の承継
子どもがいないため、お墓の承継者が不在。墓じまいが必要になるケースも。
これらの違いを理解し、自分たちで完結する終活の準備が必要です。
いつから終活を始めるべき?年代別スケジュール
終活は「高齢になってから考えるもの」と思われがちですが、実は早めに始めるほど、心にもお金にも余裕を持って準備できます。
特に子どもがいない夫婦の場合、判断力や体力があるうちに備えておくことが、将来の不安やトラブルを大きく減らすカギになります。
ここでは、50代・60代・70代の年代別に、何をどのタイミングで始めるべきかを具体的に解説します。
50代夫婦がすべきこと
- 夫婦での終活方針の話し合い(月1回)
- エンディングノートの作成開始
- 医療・介護方針の決定
60代夫婦がすべきこと
- 遺言書の作成(公正証書遺言推奨)
- お墓・供養方法の確定
- デジタル遺品の整理開始
70代夫婦がすべきこと
- 任意後見契約の検討
- 身元保証サービスの契約
- 年1回の終活内容見直し
重要:75歳以降は認知症リスクが急激に高まるため、70歳までに主要項目を完了させるのが理想です。
子供がいない夫婦が準備すべき5つの終活項目
1. 遺言書と財産管理の明文化(費用:3万〜20万円)
相続人が兄弟姉妹や甥姪に広がるため、トラブル防止に不可欠です。
- 自筆証書遺言:3,900円(法務局保管)
- 公正証書遺言:5万〜10万円
- 任意後見契約:10万〜20万円
遺言書に記載すべき項目:
- 配偶者への全財産相続
- 配偶者亡き後の財産の行き先
- 遺言執行者の指定
- 葬儀・供養方法の希望
- ペットの引き取り先
2. 医療・介護・延命治療の希望を記録(費用:無料〜3万円)
- 延命治療を希望するか
- 介護施設の希望
- 治療方針の代理人指定
活用できる制度:
- リビングウィル:1万〜3万円
- 医療・介護に関する事前指示書:無料
3. お墓・供養の決定(費用:10万〜200万円)
供養方法 | 費用相場 | メリット | 注意点 |
---|---|---|---|
樹木葬 | 30万〜80万円 | 自然志向、管理不要 | 合葬は分骨不可 |
永代供養墓 | 10万〜100万円 | 寺院が永続管理 | 33回忌後に合祀 |
納骨堂 | 50万〜200万円 | アクセス良好 | 管理費が必要 |
散骨 | 3万〜30万円 | 最安価 | 家族の理解が必要 |
4. デジタル遺品・SNSアカウントの整理(費用:無料)
- 不要なアカウントの削除
- パスワードをエンディングノートに記載
- Googleの非アクティブ管理機能の設定
5. ペットの引き取り先も検討(費用:0円〜信託設定費用)
- 知人・親族に依頼(書面推奨)
- ペット信託:50万〜200万円
- 老犬・老猫ホームへの登録
よくある疑問と解決策
Q. 老後資金はいくら必要?
A. 夫婦で最低2,500万円、ゆとりある生活なら3,500万円が目安
Q. 兄弟姉妹に迷惑をかけたくない
A. 「死後事務委任契約」で第三者に一括依頼(費用:30万〜100万円)
Q. 認知症になったらどうする?
A. 任意後見制度で信頼できる人に財産管理を託せる
まとめ|子なし夫婦の終活は”ふたりで乗り越える”
終活は「死の準備」ではなく、残された人生をより安心して生きるための投資です。50代から段階的に準備しながら、定期的な夫婦の話し合いを行いましょう。