遺品整理は、残された家族にとって大きな精神的・経済的負担になることがあります。
そんな負担を少しでも軽くする方法として、近年注目されているのが“生前契約”です。
内閣府「令和6年度 高齢者の経済生活に関する調査」によると、「今後の生活の中で準備をしているものはあるか」という質問に対し、『準備しているものはない』と答えた高齢者は40.0%にのぼります。
約4割の高齢者が死後の片付けや手続きなどの備えをまだ行えていない現状から、元気なうちに整理や契約を進めておく「生前契約」が必要とされているのです。
本記事では、遺品整理の生前契約の基本から、契約の流れ・費用・注意点、さらにトラブルを防ぐ実践的ポイントまでを詳しく解説します。
目次
遺品整理の生前契約とは

遺品整理の生前契約とは、自分が亡くなった後の片付けを、事前に専門業者と契約しておく仕組みです。
具体的には、自宅の家財や衣類、貴重品などの整理・処分を生前に取り決めておくことで、家族の負担を減らし、自分の意志を反映した整理が可能になります。
高齢化や単身世帯の増加により、家族に頼ることが難しい「おひとりさま」や高齢夫婦を中心に、この仕組みが広がっています。
生前に遺品整理を契約するメリット・デメリット

メリット
遺品整理を生前に契約しておく最大の利点は、「残される家族の負担を軽減できること」です。さらに、自分の望む形で片付けをしてもらえる安心感も得られます。
- 家族・相続人の精神的・金銭的負担を軽減できる
- 自分の意向に沿った整理・供養が可能
- 死後のトラブルや遺族間の意見対立を防げる
デメリット
一方で、生前契約には注意すべき点もあります。特に生活環境や財産内容の変化に応じて契約内容を見直す必要があります。
- 転居・施設入所などで契約場所が変わる場合、契約内容が合わなくなることがある
- 信頼できる業者選びを怠ると、費用トラブルや作業不備のリスク
- 前払い型契約では返金条件を明確にしておかないとトラブルになりやすい
遺品整理の生前契約の流れと手続き

生前契約は、以下の流れで進めるのが一般的です。
- 信頼できる業者を選定:遺品整理士認定協会の資格保有者や行政許可を受けた業者を選ぶ。
- 現地見積もりと相談:荷物量や作業範囲を確認し、費用と作業内容を提案してもらう。
- 契約書の締結:作業範囲、日時、支払い方法、キャンセルポリシーなどを明記する。
- 支払い方法の決定:前払い・後払い・信託などから選択。
- 家族や信頼できる人と共有:契約書や業者連絡先を共有しておく。
実際の遺品整理費用の目安
料金は部屋の広さ・荷物量・立地などで大きく異なります。
| 間取り | 費用目安(税込) |
|---|---|
| 1K〜1DK | 3万〜8万円前後 |
| 2LDK〜3DK | 15万〜30万円前後 |
| 一軒家(4LDK以上) | 30万〜60万円以上 |
参考:「遺品整理メモリーズ」公式サイト(2025) より。
生前予約プランによって作業内容や時期をあらかじめ決めておくことで、見積り金額を固定し、家族の負担を軽減できます。
支払い方法の種類と特徴
- 前払い型:契約時に一括で支払う方式。費用を自分で完結できるが、信頼できる業者を選ぶことが必須。
- 後払い型:死後に家族が支払う方式。柔軟だが遺族に負担が残る。
- 信託型・預託金型:信託会社や終活サポート団体を通じ、資金を安全に管理する仕組み。安心度が高い。
契約の際は、料金の内訳(仕分け・搬出・供養・ハウスクリーニングなど)を明記し、追加費用の有無を必ず確認しましょう。
トラブルを避けるために確認すべきポイント

- 契約書に「作業範囲」「費用」「キャンセル条件」「支払い方法」を明記
- 遺品整理士の資格保有・行政許可の有無を確認
- 貴重品やプライバシー関連品(写真・日記など)の扱いを事前に取り決め
- 契約者死亡後の連絡手順・家族立ち合い要否を明示
契約後も定期的な見直しを
- 転居・施設入所・財産変更時に契約内容を更新
- 年に一度、業者の連絡先・契約書を再確認
- 家族にも最新情報を共有し、スムーズな引き継ぎを準備
よくある質問(FAQ)
Q1. 生前契約と遺言書の違いは?
A. 遺言書は財産や相続の法的効力を持ちますが、生前契約は「遺品整理など実務的な片付け・処分」を委任する契約です。併用するとより安心です。
Q2. 契約後に施設へ入所・転居した場合は?
A. 住所や荷物の保管先が変わるため、業者に連絡し契約書を再確認・更新しましょう。
Q3. 支払いを信託に預けた場合、安全ですか?
A. 金融庁登録の信託会社を通じて預託する場合は安全性が高いですが、業者独自の預かり金制度はリスクがあるため注意が必要です。
Q4. 遺族が契約内容を知らなかったらどうなる?
A. 生前に家族や弁護士へ契約情報を共有しておくことでトラブルを防げます。終活ノートに記載しておくのも有効です。
Q5. 悪質な業者を見分けるには?
A. 一般廃棄物収集運搬の許可、遺品整理士資格、所在地や責任者の明示を確認しましょう。口コミや消費生活センターへの相談も有効です。
まとめ|遺品整理の準備は、元気なうちにこそ
遺品整理の生前契約は、家族の負担を減らし、自分の希望を形にできる安心な備えです。
費用・手続き・支払い方法を比較し、信頼できる業者と無理のない形で準備しておきましょう。
まずは、生前契約を取り扱う遺品整理業者に相談し、自分に合ったプランを確認してみてください。
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