家族の一員であるペットも、私たちと同じように「将来の安心」が必要です。
飼い主にもしものことがあったとき、愛するペットが困らないようにするにはどうすればいいのでしょうか。
本記事では、ペットと終活を始める上で飼い主として準備すべきこと、信頼できる支援サービス、そして今日からできるアクションまでを詳しく解説します。
目次
ペットの「終活」とは?その意味と必要性
人間の終活との違い
ペットの終活は、飼い主が将来的にペットの生活や死後の取り扱いに責任を持つための準備です。人間の終活と違い、自分の意志を言葉にできない存在のために、すべてを代わりに考えておく必要があります。
なぜペットの終活が必要なのか
近年、飼い主が高齢化し、施設入所や急な病気で飼育継続が難しくなるケースが増えています。突然の事態でもペットが安心して暮らせるよう、事前の対策が欠かせません。
ペット終活で考えるべき7つのこと【優先度別】
【最優先】まず最低限これだけは準備
1. 引き取り手を明確に決めておく
- 第一候補者、第二候補者をそれぞれ決定
- 事前に飼育の意向と条件を直接相談
- 候補者の連絡先を複数経路で確保
2. ペットのプロフィールを記録
- 基本情報(名前、生年月日、品種、体重)
- 性格・行動の特徴
- 好物・苦手な食べ物
- かかりつけ動物病院と担当医
- 投薬歴・アレルギー・既往症
- 日常のルーティン(散歩時間、食事時間)
【重要】経済面と法的準備
3. ペット信託など費用の準備
飼育に必要な費用を信託や預金として残しておくことで、引き受け先の負担を軽減できます。
- 小型犬・猫:月額1万〜2万円
- 中型犬:月額2万〜3万円
- 大型犬:月額3万〜4万円
- 信託設定費用:20万〜50万円
- 緊急医療費:10万〜30万円
ペット信託の仕組み:信託銀行や専門家を通じて、飼育費用を引き取り手に定期支給できる法的制度です。
4. 遺言やエンディングノートへの記載
- ペットは法的に「物」扱いのため、直接相続不可
- 「負担付遺贈」で条件付き遺贈が可能
- 弁護士・行政書士など専門家への相談を推奨
【補完】より安心のための準備
5. 医療・介護の方針を記録する
治療や介護の希望を記録しておくと後任者の判断がスムーズになります。
6. 契約や保険の整理
- ペット保険(契約番号・補償内容)
- 定期購入サービス(フード、消耗品)
- 動物病院の診察券・カルテ
- トリミング予約の有無
7. ペットの供養方法の希望
- 個別火葬:3万〜8万円
- 合同火葬:1万〜3万円
- 納骨堂利用料:年間5千〜2万円
- メモリアル商品:5千〜3万円
ペット終活を支援する専門家とサービス
ペット信託を扱う専門家
一般社団法人日本ペットトラスト協会の「ペット相続士」などが対応可能です。
- 信託の実績件数
- 設定・管理費用
- 条件変更の可否
- アフターフォローの有無
ペット火葬や供養サービス
動物専用の火葬場、納骨堂、メモリアルグッズなど多様な選択肢があります。
引き取り支援を行う団体
NPOや自治体が譲渡支援を行っている場合もあります。信頼性を重視しましょう。
ペット終活の始め方と進め方
始めるタイミングは「今」からでも遅くない
年齢に関係なく、早めの準備が安心につながります。
実践に役立つステップチェックリスト
【第1段階:今すぐできること】
- 引き取り候補者3名をリストアップ
- ペットの基本情報を記録
- 動物病院の連絡先・診察券の整理
【第2段階:1ヶ月以内に準備】
- 契約や保険の一覧作成
- 月々の費用計算と資金試算
- エンディングノート記載
【第3段階:3ヶ月以内に完了】
- ペット信託の専門家に相談
- 遺言書の作成または見直し
- 火葬や供養の情報収集
【第4段階:継続的な更新】
- 引き取り候補者との定期連絡
- 健康状態に応じた記録更新
- 契約・費用の見直し
よくある質問とケーススタディ
Q: ペット信託は本当に必要ですか?
A: 経済的負担の軽減や飼育継続の確実性から、高齢ペットや大型犬では特に有効です。
Q: 遺言書にペットのことを書くときの形式は?
A: 「○○に対し、愛犬△△の飼育を条件として金○万円を遺贈する」という負担付遺贈が一般的です。
ケーススタディ:一人暮らしの高齢者のケース
田中さん(75歳)は愛猫と二人暮らし。入院を機にペット終活を開始。姪に引き取りを依頼し、ペット信託で月2万円×10年分を設定。現在は安心して治療に専念できています。
まとめ|ペットの未来を守るのは「今」の行動
「ペット終活」は、大切な家族を守るための思いやりの形です。
まずは「引き取り手の確保」と「ペット情報の記録」から始めましょう。
ペット信託や遺言書などの準備も進めることで、将来の安心が大きく高まります。