「遺言書は自宅で保管しても大丈夫?」そんな疑問を持つ方が増えています。
この記事では、自宅保管のメリット・リスク・注意点をわかりやすく整理し、失敗しないための具体策をご紹介します。
紛失や改ざんのリスク、法務局保管との比較、安全な保管方法まで徹底解説します。
目次
自宅で遺言書を保管するのはアリ?ナシ?

「遺言書を自宅で保管してもいいの?」と疑問を持つ方は少なくありません。まずは、自宅保管という選択肢の是非と、近年そのニーズが高まっている背景を見ていきましょう。
この記事の結論:自宅保管は「慎重にすれば可能だが手続きが複雑」
自宅保管は法律上認められており、費用もかかりません。ただし、家庭裁判所での検認手続きが必須で、安全性や発見の確実性にも注意が必要です。
なぜ「自宅保管」が気になる人が増えているのか
コロナ禍を経て終活への意識が高まる中、自宅で手軽に準備を進めたいというニーズが増加。法務局や公証役場に行くことへのハードルも背景にあります。2024年からの相続登記義務化により、遺言書への関心もさらに高まっています。
遺言書の保管方法3つの選択肢と特徴

遺言書の保管には複数の方法があり、それぞれにメリット・デメリットがあります。ここでは代表的な3つの方法を詳細に比較します。
① 自宅保管(費用ゼロ/手続き複雑)
- メリット:
・保管費用が一切かからない
・手軽に準備できる
・内容を秘密にできる - デメリット:
・検認手続きが必要(費用:800円の収入印紙+郵便代)
・手続きまで1〜2ヶ月かかる
・勝手に開封すると5万円以下の過料
② 法務局保管制度(手数料3,900円/検認不要)
- メリット:
・検認手続きが不要
・紛失・改ざんの心配がない
・相続人への通知サービスあり
・各種相続手続きに即利用可能 - デメリット:
・保管手数料3,900円が必要
・事前予約が必要
・本人が法務局に出向く必要
③ 公証役場での保管(公正証書遺言)
- メリット:
・検認手続きが不要
・法的効力が最も強い
・作成時に法的チェックが入る - デメリット:
・費用が高い(数万円〜)
・証人2名が必要
・作成に時間がかかる
法務局保管vs自宅保管の徹底比較表
項目 | 法務局保管 | 自宅保管 |
---|---|---|
初期費用 | 3,900円 | 0円 |
検認手続き | 不要 | 必要(800円+1〜2ヶ月) |
紛失リスク | なし | あり |
改ざんリスク | なし | あり |
発見確実性 | 高い | 低い |
手続きの手間 | 事前予約必要 | なし |
相続手続き | 即座に可能 | 検認後に可能 |
自宅保管の遺言書に必要な検認手続きとは

自宅で保管した遺言書が発見された場合、必ず家庭裁判所での検認手続きが必要です。この手続きを怠ると、銀行や法務局での相続手続きができません。
検認手続きの流れ
- 家庭裁判所への申立て
必要書類:申立書、遺言書、戸籍謄本等
費用:収入印紙800円+郵便切手代 - 相続人全員への通知
- 検認期日での確認(立会い・開封)
- 検認済証明書の交付(これで相続手続きが可能)
遺言書を勝手に開封すると過料?
遺言書を発見しても、勝手に開封してはいけません。民法では、相続人は「遅滞なく家庭裁判所に提出し、検認を請求」しなければならないと定められています。
違反した場合の罰則:5万円以下の過料が科される可能性があります。
遺言書を自宅で保管する際の注意点
紛失・改ざんリスク(実例あり)
「見つからなかった」「書き換えられていた」など、裁判に発展するケースもあります。災害時の紛失リスクにも注意が必要です。
発見されず無効になるリスク
統計では、自宅保管の遺言書の約3割が発見されないまま相続が進んでしまうと言われています。
自宅保管する場合の具体的な対策

鍵付き金庫・貸金庫の利用
セキュリティが高い場所に保管し、改ざん・紛失を防ぎます。貸金庫は年間数千円で利用可能です。
信頼できる人に所在を伝える
- 封筒に「遺言書在中・要検認手続き」と明記
- 家族LINEで保管場所を共有
- 複数の信頼できる人に伝える
エンディングノートとセットで保管
ノートに検認手続きの必要性や保管場所を記載しておくと、確実に見つけてもらえる確率が上がります。
まとめ:遺言書を自宅で保管するなら「法的手続きの理解」が最重要
- 検認手続きへの理解と家族への共有が必須
- 書式不備を防ぐテンプレート活用が効果的
- 費用と時間を考慮して保管方法を選ぶ
まずは無料テンプレートを活用して、今日からできる備えを始めましょう。