「もし夫や妻が亡くなったら、遺族年金はいくらもらえるのか?」多くの人が不安に思うテーマです。
遺族年金は国の制度として支給されますが、金額は基礎年金と厚生年金の組み合わせ、家族構成、年収によって大きく変わります。
本記事では2025年度の最新金額をもとに、年収別シミュレーションや家庭タイプごとの違いをわかりやすく解説します。さらに、生活費との比較や働き方の制限など、見落としがちなポイントも取り上げます。
目次
遺族年金とは?わかりやすく解説
遺族年金は、家族の生活を守るために国が支給する年金制度です。しかし「誰が受け取れるのか」「いつまで支給されるのか」といった条件は意外と複雑です。まずは制度の仕組みを整理して理解しておきましょう。
遺族基礎年金と遺族厚生年金の違い
遺族年金は大きく「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」に分かれます。基礎は国民年金に加入していた人の家族が対象で、厚生は会社員や公務員が対象です。
誰が受給できるのか
妻や夫だけでなく、子どもや父母が対象になるケースもあります。特に18歳未満の子がいると遺族基礎年金が支給されるなど、条件によって金額や受給期間が異なります。
遺族基礎年金はいくら?
遺族基礎年金は、国民年金に加入していた人が亡くなった場合に支給されます。子の人数に応じて加算されるため、家族構成によって支給額が大きく変動します。
最新の金額や支給条件は、日本年金機構の公式ページで確認できます。
2025年度の最新金額(子の人数別)
家族構成 | 年間支給額 | 月額目安 |
---|---|---|
妻+子ども1人 | 約1,048,000円 | 約87,000円 |
妻+子ども2人 | 約1,124,000円 | 約94,000円 |
妻+子ども3人 | 約1,200,000円 | 約100,000円 |
国民年金加入者が亡くなった場合
自営業者や専業主婦世帯の多くが対象です。夫が国民年金のみに加入していた場合でも、18歳未満の子がいれば遺族基礎年金が支給されます。
遺族厚生年金はいくら?
遺族厚生年金は、会社員や公務員として厚生年金に加入していた人が亡くなった場合に支給されます。基礎年金と異なり、年収や勤続年数によって金額が大きく異なる点が特徴です。
計算方法や支給要件の詳細は、厚生労働省の年金制度ページをご覧ください。
計算方法(報酬比例)
遺族厚生年金は、被保険者の報酬額と加入期間によって決まります。基本的には老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3が支給額の目安になります。
年収別シミュレーション(モデルケース)
夫の年収 | 遺族厚生年金(月額目安) |
---|---|
300万円 | 約70,000円 |
500万円 | 約110,000円 |
700万円 | 約150,000円 |
夫が年金受給中に亡くなった場合はいくら?
すでに年金を受給している人が亡くなった場合、支給される遺族年金はそのまま引き継がれるのではなく、一部が遺族厚生年金として支給されます。
夫が年金15万円/20万円もらっていたケース
夫が受給していた年金額のうち、報酬比例部分の4分の3が妻に支給されます。
- 夫が15万円受給 → 妻には月約11万円
- 夫が20万円受給 → 妻には月約15万円
65歳以上の妻の場合
65歳以上の妻は自分の老齢基礎年金と遺族厚生年金を受け取るケースが一般的です。ただし、併給調整があるため全額を合算できるとは限りません。
遺族年金の合計・早見表
家庭タイプごとの合算例をシミュレーションします(遺族厚生は年収500万円想定)。
家庭タイプ | 遺族基礎年金(月額) | 遺族厚生年金(月額) | 合計(月額) |
---|---|---|---|
妻のみ | 0円 | 約110,000円 | 約110,000円 |
妻+子ども1人 | 約87,000円 | 約110,000円 | 約197,000円 |
妻+子ども2人 | 約94,000円 | 約110,000円 | 約204,000円 |
遺族年金の平均支給額
統計上の平均支給額は月約9万円程度。家計を支えるには不足するケースが多いため、追加の備えが必要です。
遺族年金と働き方・税金
遺族年金は非課税って本当?
遺族年金は所得税・住民税ともに非課税です。ただし、国民健康保険料や介護保険料の算定には影響する場合があるため注意しましょう。
パート収入はいくらまでOK?
遺族年金を受給しながらパートで働く場合、収入に上限はありません。ただし、寡婦年金や児童扶養手当と併給する場合は所得制限があるため、必ず確認が必要です。
遺族年金だけで生活できる?
生活費と支給額の差
一般的な生活費は月20〜25万円程度。平均支給額9万円では不足するため、遺族年金だけでの生活維持は難しいのが現実です。
不足分を補う方法
- 生命保険の活用(死亡保障の見直し)
- 貯蓄や投資による準備(生活防衛資金+資産形成)
- 公的支援制度の併用(児童扶養手当など)
まとめ
遺族年金の金額は、基礎年金と厚生年金、家族構成によって大きく変動します。平均すると月9万円前後であり、生活費には足りないケースが多いため、生命保険や貯蓄での補填が不可欠です。
今の生活費と遺族年金の差をシミュレーションし、不足分を把握することから始めましょう。