人が亡くなると、多くの手続きが短時間のうちに求められます。その中でも特に早急に対応しなければならないのが「葬儀の準備」です。
死亡診断書の取得や搬送など、死亡直後の流れについては以下の記事で詳しく解説しています。
本記事では、特に「葬儀」に焦点を当てて、準備の流れや費用の目安などを具体的に解説していきます。
葬儀の形式と選び方

一般葬・家族葬・直葬の違いとは?
葬儀にはいくつかの形式があり、それぞれに特徴と費用の違いがあります。喪主としてどの形式を選ぶかは、家族の意向や参列者数、予算によって判断します。
葬儀形式 | 特徴 | 参列者数目安 | 費用相場 |
---|---|---|---|
一般葬 | 通夜と告別式を行い、参列者も多くなる傾向 | 50名以上 | 120-200万円 |
家族葬 | 近親者のみで執り行う小規模な葬儀 | 10-30名 | 60-100万円 |
直葬(火葬式) | 式を省略し、火葬のみで故人を送る形式 | 5-10名 | 20-40万円 |
宗教・宗派の確認も忘れずに
菩提寺がある場合は、宗派や慣例に従う必要があります。無宗教であっても、僧侶の読経を希望するかどうかなど、事前に家族で話し合っておきましょう。
確認すべき宗教的事項
- 菩提寺の有無と宗派
- 戒名の希望
- 読経の有無
- 宗教的儀式の内容
葬儀までの流れと準備すべきこと

【ステップ1】葬儀社を決める(24時間以内)
信頼できる葬儀社を選ぶことが、全体の流れを円滑に進める鍵です。
葬儀社選びのポイント
- 24時間対応可能か
- 見積もりが明確で追加料金の説明があるか
- スタッフの対応が丁寧か
- 実績と口コミの確認
- 複数社の見積もり比較(時間に余裕があれば)
注意:契約前に必ず確認すること
- キャンセル料の有無と条件
- 追加料金が発生する項目
- 支払い方法と時期
【ステップ2】打ち合わせで決まること(1-2日以内)
必ず決定する項目
- 日時・会場の確定
- 通夜・告別式の進行内容
- 遺影写真や祭壇の準備
- 料理・返礼品の有無と数量
- 参列者への連絡方法
事前に家族で決めておくとスムーズなこと
- 予算の上限
- 葬儀の規模(参列者数の想定)
- 宗教的な希望
- 故人の遺志があれば共有
【ステップ3】各種手配と連絡(2-3日以内)
必要な手配
- 死亡届の提出(7日以内だが早めに)
- 火葬場の予約
- 参列者への正式な連絡(日時確定後)
- 供花・供物の手配
- 会食の手配(必要に応じて)
費用の目安と内訳
葬儀費用の詳細な内訳
基本的な葬儀費用の構成
項目 | 一般葬 | 家族葬 | 直葬 |
---|---|---|---|
葬儀社基本料金 | 60-100万円 | 40-60万円 | 15-25万円 |
施設使用料(式場) | 10-20万円 | 5-15万円 | 0円 |
火葬費・霊柩車費用 | 5-10万円 | 5-10万円 | 3-5万円 |
お布施・戒名料 | 20-50万円 | 15-30万円 | 10-20万円 |
飲食・接待費 | 15-30万円 | 10-20万円 | 0円 |
香典返し・返礼品 | 10-20万円 | 5-10万円 | 2-5万円 |
合計目安 | 120-230万円 | 80-145万円 | 30-55万円 |
費用を抑えるポイント
見直しやすい項目
- 祭壇の規模とグレード
- 棺の材質
- 供花の数と種類
- 会食の内容と人数
- 返礼品の単価
不明点は見積書を細かく確認し、不必要な項目がないかチェックしましょう。
葬儀を行わない選択肢もある

「葬儀をしない」は法的に可能?
近年では「直葬」や「お別れ会のみ」といった選択をする家族も増えています。法律上、葬儀は義務ではありません。ただし、火葬や死亡届などの行政手続きは必須です。
最低限必要な法的手続き
- 死亡届の提出(7日以内)
- 火葬許可証の取得
- 火葬の実施
家族間トラブルを避けるために
葬儀を省略する場合、親族の理解を得られるよう説明が必要です。
説明すべきポイント
- なぜこの形式を選ぶのか(故人の遺志、経済的理由など)
- 故人への想いは変わらないこと
- 今後の供養の方法
- 親族の意見も聞く姿勢を示す
「なぜこの形式を選ぶのか」を丁寧に伝えることで、後々の摩擦を防げます。
やることチェックリスト
【24時間以内】緊急対応リスト
- ☐ 死亡診断書の受取
- ☐ 葬儀社への連絡・遺体搬送
- ☐ 家族・親族への第一報
- ☐ 故人の勤務先への連絡
- ☐ 葬儀形式の大まかな方針決定
【1-3日以内】葬儀準備リスト
- ☐ 葬儀社との詳細打ち合わせ
- ☐ 日時・会場の確定
- ☐ 死亡届の提出
- ☐ 火葬場の予約
- ☐ 参列者への正式連絡
- ☐ 遺影写真の準備
- ☐ 供花・供物の手配
【3-7日以内】その他の準備
- ☐ 会食の手配(必要に応じて)
- ☐ 香典返し・返礼品の準備
- ☐ 弔辞や挨拶の準備
- ☐ 葬儀後の段取り確認
葬儀後に必要な主な手続き
葬儀が終わったらすぐにやること
行政関係の手続き(14日以内が多い)
- 健康保険証の返却
- 年金の停止・変更手続き
- 住民票の除票
- 介護保険証の返却
金融・契約関係
- 故人名義の口座の確認と相続手続き
- 公共料金や各種契約の解約・名義変更
- 生命保険の請求手続き
- クレジットカードの解約
これらの手続きは葬儀が終わった直後から順次始める必要があります。
詳しくは:
まとめ|「葬儀」に特化して準備の流れを知っておこう
「家族が亡くなったら葬儀をどうすればいいのか」と戸惑う方は多くいます。本記事では時系列に沿った準備の流れから葬儀の形式選び、費用の詳細な目安、葬儀後の対応までを具体的に紹介しました。
重要なポイントのおさらい
- まず24時間以内に葬儀社選びと家族への連絡を
- 葬儀形式は予算と参列者数で判断
- 費用の内訳を理解して無駄を省く
- 家族間での事前の話し合いが重要
- 葬儀後の手続きも計画的に進める
他の手続きや届け出については、別記事にて詳しく解説しています。まずは落ち着いて、チェックリストを活用しながらひとつずつ進めていきましょう。