家族が亡くなったあと、「銀行口座はどうなるの?」「お金を引き出しても大丈夫?」と不安に感じる方は多いでしょう。
この記事では、故人の銀行口座がどのように扱われるのかを、相続の流れ・必要書類・各銀行の手続きページまで丁寧に解説します。
目次
銀行口座の名義人が亡くなるとどうなる?
銀行が名義人の死亡を確認すると、その口座は凍結されます。
これは、預金の不正引き出しを防ぐための措置です。
ただし、死亡直後に銀行がまだ把握していない場合、1回分の自動引き落としが実行されることもあります。
故人の預金を受け取るには、相続人が正式な相続手続きを行う必要があります。手続き完了まではお金を引き出すことはできません。

緊急時に使える「仮払い制度」
葬儀費用や医療費など、すぐにお金が必要な場合は「預貯金の仮払い制度」を利用できます。2019年の民法改正で導入された制度で、相続人が単独で一定額まで引き出せます。
上限額の目安
「死亡時の預貯金残高 × 法定相続分 × 1/3」または「150万円」のうち低い方
- 例:預金1,200万円・相続人が配偶者(法定相続分1/2)の場合
→ 1,200万円 × 1/2 × 1/3 = 200万円 → 上限150万円が適用
注意:仮払い制度を利用すると、相続放棄ができなくなる場合があります。相続放棄を検討している場合は専門家に相談しましょう。
銀行手続きの前に準備すべきもの
銀行口座が凍結されると、預金を引き出すには銀行ごとの必要書類を提出する必要があります。あらかじめ整理しておくとスムーズです。
必要書類チェックリスト
基本書類(共通)
- ☑ 故人の「出生から死亡までの戸籍謄本」
- ☑ 相続人全員の戸籍謄本
- ☑ 相続人全員の印鑑証明書
- ☑ 各相続人の本人確認書類
- ☑ 銀行所定の相続依頼書
追加書類(場合により必要)
- ☑ 遺言書(原本)
- ☑ 遺産分割協議書(全員署名・実印押印済)
- ☑ 遺言執行者の確認書類
費用の目安
- 戸籍謄本:1通450円
- 印鑑証明書:1通300円前後
- 郵送費:数百円
専門家に依頼する場合は、手続き内容によって5〜10万円程度が相場です。
遺言書の有無で変わる手続きの流れ

遺言書がある場合
- 公正証書遺言: 検認手続き不要、2〜3週間程度で完了
- 自筆証書遺言: 家庭裁判所での検認が必要、1〜2か月ほどかかる
遺言書がない場合
相続人全員で「遺産分割協議」を行う必要があります。期間は3週間〜1か月以上が目安です。
銀行での手続きの流れ
| ステップ | 内容 | 期間の目安 |
|---|---|---|
| ① 銀行に死亡を連絡 | 電話または窓口で報告。口座が凍結されます。 | 即日 |
| ② 必要書類を準備 | 各銀行の相続センターで確認しながら揃える。 | 1〜2週間 |
| ③ 書類提出・審査 | 書類を提出後、確認・審査ののち払い戻しへ。 | 1〜3週間 |
よくあるミスと対策
- 戸籍が途中で切れている:出生から死亡まで連続していることを確認
- 印鑑証明の期限切れ:発行から3か月以内のものを使用
- 遺産分割協議書の不備:相続人全員の署名・実印が必要
5. 各銀行の相続手続きページ
6. よくある質問(FAQ)
Q1. 相続手続きは全口座で必要?
はい。複数の銀行に口座がある場合、それぞれ個別に手続きが必要です。
Q2. 相続放棄した人も関与しますか?
いいえ。家庭裁判所で放棄が受理されれば、その人は相続人から除外されます。
Q3. 手続き期間はどのくらい?
遺言書がある場合は約2〜3週間、ない場合は3週間〜1か月以上が目安です。
Q4. 手続き中に自動引き落としがあったら?
銀行に連絡して停止を依頼しましょう。場合によっては返金対応を受けられます。
Q5. 相続人が海外在住の場合は?
在外公館発行の証明書などが必要なことがあります。事前に各銀行へ確認しましょう。
まとめ:落ち着いて、順を追って進めましょう
大切な方を亡くした直後は気が動転してしまうものです。しかし、相続手続きには決まった流れがあります。まずは口座凍結を行い、必要書類を揃えることから始めましょう。
覚えておきたいポイント
- 緊急時は仮払い制度を活用できる
- 書類は早めにチェックリストで確認
- 手続き期間は遺言書の有無で異なる
- 複数銀行の手続きは計画的に進める
一つひとつのステップを確実に進めれば、スムーズに手続きが完了します。
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