実家が空き家になったらどうする?放置リスクから最適な解決ステップまで

実家が空き家になったらどうする?放置リスクから最適な解決ステップまで

親の介護や相続をきっかけに「実家が空き家になった」と悩む人が増えています。

「遠方で管理ができない」「思い出があって手放せない」など、感情と現実の狭間で迷うのは当然です。

しかし、放置は税金・修繕・防犯の負担を大きくする原因になります。

この記事では、最新の統計データをもとに空き家問題の現状を解説しつつ、「実家が空き家になったとき、どう判断し、どう動くべきか」を5つのステップで紹介します。

実家が空き家になる人が急増している理由

空き家

背景には人口減少・高齢化・相続未整理といった社会的要因があります。

まずは全体像を数字で把握し、「自分ごと化」して判断材料を揃えましょう。

全国で900万2千戸、空き家率13.8%(いずれも過去最多・過去最高)

総務省の調査によると、全国の空き家は900万2千戸、空き家率は13.8%に達しました。

さらに、賃貸・売却用や二次的住宅を除く空き家385万6千戸で、2018年比36万9千戸増と報告されています。

出典:令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計

放置するとどうなる?空き家の3つのリスク

放置するとどうなる?空き家の3つのリスク

放置は「お金」「安全」「人間関係」の三方面で負担を増やします。

早期対応の必要性を理解するため、代表的なリスクを整理します。

1. 税金負担が増える可能性

老朽化や危険性が高いと判断されると「特定空家」に指定され、住宅用地の特例が外れることがあります。

結果として固定資産税が最大6倍に増えるケースもあり、経済的負担が大きくなります。

2. 防犯・災害リスクの増大

放置された住宅は不法侵入・放火・倒壊などのリスクが高まります。

近隣からの苦情や行政指導の対象になることもあります。

3. 相続・売却が難しくなる

放置期間が長いほど建物の劣化が進み、売却・賃貸の選択肢が狭まります。

また、相続登記が未了だと法的手続きが複雑化します。

実家の空き家、4つの選択肢と特徴

実家が空き家になったときに考えられる選択肢は、大きく4つあります。

それぞれのメリット・デメリット・費用感を理解しておくことが、後悔しない判断につながります。

対応策 メリット デメリット 想定コスト
維持・管理 思い出を残せる/将来利用 維持費・管理負担 年10〜30万円
賃貸・民泊活用 収益化できる 修繕・法規制の対応 初期費用100万円〜
売却 現金化・管理負担ゼロ 相続人間の調整が必要 仲介手数料3〜5%
解体・更地化 危険性・税制リスクの回避 解体費・固定資産税増の可能性 約100〜200万円

実家が空き家になったときにやるべき5つのステップ

空き家

「何から始めればいいかわからない」という人も、このステップに沿って進めれば整理しやすくなります。

ステップ1:現状を正確に把握する

名義・老朽化・費用の3つを把握し、家の現状を「見える化」しましょう。

  • 登記簿で名義確認(相続未登記に注意)
  • 築年数・老朽化・耐震状況の確認(写真記録)
  • 固定資産税・管理費・修繕費の試算

ステップ2:家族・相続人と方針を共有する

複数の相続人がいる場合、意見が分かれることがあります。

感情ではなくデータで話すことが、スムーズな合意形成の鍵です。

ステップ3:維持・活用・売却・解体を選ぶ

家庭ごとに最適な方法は異なります。

以下の判断チャートを参考にして方向性を整理しましょう。

【判断チャート】
Q1:今後、家族が住む予定はある? → Yes → 維持・管理へ
 └ No → Q2へ
Q2:立地・設備に需要がある? → Yes → 賃貸 or 民泊活用へ
 └ No → Q3へ
Q3:老朽化や維持費の負担が大きい? → Yes → 売却 or 解体へ
 └ No → 維持しつつ様子見

ステップ4:手続きと費用を把握する

方向性が決まったら、次は手続きと費用を整理します。

事前にスケジュールと予算を明確にしておくと、後のトラブルを防げます。

項目 賃貸化 売却 解体
主な手続き 修繕・管理契約 登記整理・媒介契約 解体許可・業者選定
期間目安 1〜3か月 2〜6か月 約1か月
費用目安 50〜200万円 仲介手数料3〜5% 100〜200万円

ステップ5:空き家を維持・管理する具体的な方法を選ぶ

対応が終わっても管理は続きます。遠方からでも管理できる仕組みを整えましょう。

空き家を放置しないためには、定期的な管理が欠かせません。

ただし、選んだ方針によって対応方法は異なります。
ここでは維持・売却・解体の3パターン別に、実際に行うべき管理方法を解説します。

① 維持・再利用する場合:自分または家族で管理する

近距離に住んでいる場合や、将来的に再利用を考えている場合におすすめです。

通風・清掃・通水などを月1回程度行い、劣化を防ぎます。費用は少なく済みますが、時間と手間の確保が必要です。

  • 頻度:月1回〜数か月に1回
  • 主な内容:通風、掃除、草刈り、水道の通水など
  • 費用:交通費+清掃用品など実費

② 遠方の場合:管理代行業者に依頼する

遠方に住んでいて管理が難しい場合は、空き家管理サービスを利用しましょう。

自治体と連携している管理会社も多く、定期点検や報告書送付を行ってくれます。

費用はかかりますが、安全・衛生・トラブル防止の観点からは非常に効果的です。

  • 頻度:月1回〜3か月に1回(契約プランによる)
  • 主な内容:外観確認、清掃、通風・通水、郵便物処理など
  • 費用:月3,000〜10,000円前後が一般的

③ 売却を選ぶ場合:引き渡しまでの「仮管理」を行う

売却を決めた場合でも、契約成立までは空き家の状態を維持する必要があります。

「引き渡し時に劣化している」と査定が下がったり、契約トラブルになることも。

  • 契約前:外観や室内の清掃・通風を最低限維持
  • 契約後:引き渡しまで雨漏り・設備不具合がないか確認
  • 費用目安:清掃・補修など数千円〜数万円

不動産会社が売却を代行する場合は、現地管理も委託できる場合があるため、相談してみましょう。

④ 解体を選ぶ場合:撤去後の土地管理を忘れずに

解体後の更地も放置すると、雑草・不法投棄・固定資産税増額のリスクがあります。

  • 雑草対策:防草シートや砂利敷きを施工
  • 境界明示:隣地トラブルを防ぐため杭・フェンスを確認
  • 定期確認:年2回ほど現地を見回る or 管理代行を委託

将来的に売却や駐車場利用を考える場合は、土地の活用方法もセットで検討しておくのが理想です。

いずれのケースでも、「誰が・いつ・どのように」管理・対応するかを明確に決めることが大切です。
放置による倒壊・雑草・害虫などのトラブルを防ぐためにも、早めの体制づくりを心がけましょう。

行政の支援・補助金制度を活用する

専門家相談

改修・除却(解体)・利活用などに関して、国や自治体が支援メニューを用意しています。

最新の制度を確認し、費用負担の軽減に役立てましょう。

自治体ごとの補助制度をチェック

改修補助、除却補助、空き家バンクなどは自治体ごとに異なります。

「市区町村名+空き家+補助金」で検索し、最新情報を確認しましょう。

最新の補助金・助成金情報を調べる際には、以下の公式ポータルサイトも便利です。

補助金ポータル(公式サイト)

  • 空き家改修補助金:最大100万円以上の自治体も
  • 除却(解体)補助金:老朽家屋の撤去を支援
  • 空き家バンク:移住希望者とのマッチング

放置しないための3つの心得

すぐに結論が出なくても、進め方の「姿勢」を決めておけば迷いにくくなります。

以下の3つを意識するだけで、リスクを大幅に減らせます。

  1. 先送りしない — 劣化は待ってくれません。
  2. 感情よりデータで判断 — 維持費・相場・リスクを数値化する。
  3. 専門家を早めに頼る — 不動産・税務・行政の無料相談を活用。

まとめ:動き出すなら「今」が最善のタイミング

実家の空き家問題は、放置するほど複雑化します。

現状把握→家族合意→方針選択→手続き→管理という流れを押さえ、数字とデータに基づいた判断で前に進みましょう。