「遺影は亡くなってから家族が探すもの」と考えていませんか？
最近の調査では約5割の人が「遺影を自分で選びたい」と回答しているものの、実際に準備している人は少数にとどまっています。
生前に余裕を持って準備しておけば、遺族の負担を減らせるだけでなく、自分らしい姿を安心して残すことができます。
本記事では、遺影を生前に準備するメリットや撮影のタイミング、写真の選び方や保管方法、注意点までをわかりやすく解説します。
目次
遺影を「生前」に準備すべき？
遺影は葬儀や法要で多くの人に見られる大切な写真です。
しかし突然必要になり、遺族が慌てて探すケースが少なくありません。
多くの人が「遺影を自分で選びたい」と考えている
2024年のアスカネット「遺影に関するホンネ調査」では、20歳～69歳以下の男女500名に調査した結果、自分の遺影に関して最も多い回答は「できれば選んでおきたい」が38.8％となり、「絶対に選んでおきたい」の10.0％とあわせると、遺影を自分で選びたいと回答した方は全体の約5割となりました。
しかし多くの人が「準備の仕方がわからない」「縁起が悪い気がする」といった理由で行動に移せずにいるのが現状です。
遺影を準備しておくことで、遺族の負担を減らせる
遺影を前もって用意しておくことで、葬儀前後の慌ただしい時期に写真を探す手間を省けます。
遺族は通夜や葬儀の準備で多忙を極めるため、「写真が見つからない」というだけで大きなストレスになります。
実際に、適切な写真が見つからず小さな写真を無理に拡大したり、ピントの外れた写真を使わざるを得ないケースも多く見られます。
生前に準備された一枚があるだけで、家族は安心して葬儀に集中できるのです。
また本人が元気なうちに用意すれば、「理想の表情」「お気に入りの服装」で残すことが可能です。
最近では「普段着で笑顔の遺影」を希望する方が増えており、より自然で個性的な遺影を求める傾向が見られます。
遺影を準備するタイミングはいつ？
必要と分かっていても、いつ準備すべきか悩む方も多いのではないでしょうか。
ここでは代表的なきっかけや時期をご紹介します。
還暦・古希・喜寿など節目の年齢
長寿のお祝いの際に写真館で撮影する習慣を活かし、そのまま遺影候補にできます。
赤いちゃんちゃんこや記念の衣装ではなく、少しフォーマルな服装で一枚撮っておくと、遺影としても違和感なく使用できます。
人生の節目に合わせて自然に準備できるのが大きな利点です。
健康なうちに自然体で撮影
病気や高齢でやつれた姿を残すのではなく元気な姿を写すことで、後から「もっと早く撮っておけばよかった」と後悔するのを防げます。
特に旅行や家族イベントのタイミングで撮っておけば、「普段通りの自分」を残せるため、遺族にとっても思い出深い一枚になります。
遺影にふさわしい写真の条件
人気の遺影スタイルと選び方
最も人気なのは「普段着で笑顔の遺影」で、自然な表情と親しみやすい服装が好まれています。
背景はシンプルで落ち着いた色が基本ですが、「好きな場所で撮った遺影」も人気があるように、必ずしも無地である必要はありません。
服装は清潔感があり、派手すぎないものが基本。「趣味の物を持った自分らしい遺影」も人気があり、個性を表現する要素があっても問題ありません。
スマホ写真でも大丈夫？
多くの人が「自分たちで撮影したスナップ写真で良い」と考えており、必ずしもプロの撮影にこだわる必要はありません。
近年は高画質なスマホ写真を遺影に使う例も増えています。
ただし照明や角度の問題で仕上がりに差が出やすいため、プロによる修正や補正を加えると安心です。
集合写真から切り抜いたものは画質が荒くなりやすいので、なるべく「一人で写っている鮮明な写真」を用意しておくことが理想です。
遺影を生前に用意する際の撮影方法
実際にどのような方法で撮影するのか、どのように保管するのかも含めて検討してみましょう。
写真館・スタジオでの撮影
約3割の人がプロの撮影を希望しており、この割合は年々増加傾向にあります。
専門のカメラマンが光や表情を調整してくれるため、仕上がりが安定し、修正サービスも含まれることが多いため、「肌の色合い」「しわの軽減」なども自然に整えてもらえます。
多くの人が1万円台での撮影を希望していますが、実際の相場は1～3万円程度が一般的です。
予算に応じたプランを選ぶことが重要です。
自宅でのセルフ撮影
スマホやカメラでも十分可能で、自然な撮影も十分選択肢になります。
自然光を利用し、白や無地の背景を用意するだけで印象が大きく変わります。
三脚やリモコンを使えば手ブレも防げますし、気軽に何度も撮り直せる点が利点ですが、照明や構図に工夫が必要なので「簡易的な準備」と割り切るのがよいでしょう。
保管はデジタルデータがおすすめ
紙焼き写真だけでなく、クラウドや外付けHDDに保存すれば劣化や紛失のリスクを減らせます。
特にクラウド保存は、家族が共有できる点が魅力です。
スマートフォンの普及により、いつでも写真を撮れるという意識が高まっていますが、いざという時に適切な写真を素早く見つけるためには、事前の整理が重要です。
遺影を生前に準備する際の注意点
定期的に更新して「今の自分」を残す
数年おきに撮り直すことで、年齢に合った自然な写真を残せます。
「最後にいつ撮ったか」を家族で共有しておくとスムーズです。
誕生日や記念日などに合わせて更新する習慣をつければ、無理なく自然に準備が続けられます。
準備への心理的ハードル
遺影を選びたいと考える人は多いものの、実際の準備率は低いのが現状です。
これは「準備の仕方が分からない」「準備自体にマイナスなイメージがある」ことが要因と考えられます。
まずは「記念写真の延長」として気軽に考えることから始めましょう。「縁起が悪い」という考えにとらわれず、「自分らしさを残す準備」として前向きに捉えることが大切です。
まとめ｜遺影は生前準備で安心と自分らしさを残せる
遺影を生前に準備することは、遺族の負担を減らし、自分らしい姿を残すために非常に有効です。
「記念写真の延長」として気軽に始めることから、自分らしい準備を進めてみてはいかがでしょうか。