自分史は、これまでの人生を振り返り、大切な思い出や出来事を記録として残すあなただけの人生の物語です。
終活の一環として作成することで、心の整理ができ、家族に感謝の気持ちや人生の教訓を伝える貴重な贈り物になります。
この記事では、「何から書き始めればいいかわからない」という方でも安心して取り組める自分史の書き方を、具体例とともにわかりやすく解説します。
自分史とは?終活における役割
自分史を書くことは、人生の最終章を迎えるにあたって自分自身と向き合う大切な時間です。
終活としての自分史は、単に過去を記録するだけでなく、未来に向けたメッセージでもあります。
家族に伝えたい価値観、感謝の気持ち、人生で学んだ教訓を形に残すことで、あなたがいなくなった後も、家族の心の中で生き続ける存在になるのです。
自分史の書き方ガイド
自分史を書くときに「どこから手をつけていいかわからない」「何を書けばいいの?」という方も多いでしょう。
そんな疑問を解決するために、実践的な書き方のコツを段階的にご紹介します。無理なく始められる方法から、内容の選び方まで、あなたのペースで進められるガイドです。
まずは心の準備から
自分史を書き始める前に、以下の点を意識してみてください:
完璧を求めない:文章が上手くなくても、記憶があいまいでも大丈夫です。大切なのは、あなたの気持ちを素直に表現することです。
小さく始める:いきなり人生全体を書こうとせず、印象深い1つの出来事から始めてみましょう。
家族と話す時間を作る:記憶を呼び起こすために、家族や友人との会話は貴重な手がかりになります。
自分史に含めたい内容(具体例付き)
1. 生い立ちと家族のこと
- 出生地や家族構成:「昭和○年、○○県で3人兄弟の長男として生まれました」
- 幼少期の記憶:「母の手作りのお弁当の味」「父と一緒に見た夕日」など
2. 人生の転機となった出来事
- 学生時代:「高校での部活動で学んだチームワークの大切さ」
- 就職・転職:「初めての仕事で失敗した時、上司にかけられた言葉」
- 結婚・子育て:「配偶者との出会い」「子どもが生まれた時の気持ち」
3. 困難と乗り越え方
- 病気や挫折:「入院した時に感じた家族の支えの温かさ」
- 経済的困難:「家族で協力して乗り越えた厳しい時期」
4. 感謝と愛の言葉
- 家族一人ひとりへのメッセージ
- 人生で出会った恩師や友人への感謝
- これからの家族への願い
書く場所と方法の選択
手書きの魅力:あなたの字で書かれた自分史は、家族にとって特別な温かみを持ちます。ノートや便箋を使って、ゆっくりと思いを込めて書いてみてください。
デジタルの利便性:パソコンやタブレットを使えば、修正や追加が簡単です。写真も一緒に保存できるため、より豊かな記録になります。
音声録音という選択:文字を書くのが困難な場合は、音声で録音する方法もあります。あなたの声そのものが、家族にとって宝物になります。
自分史作成の具体的なステップ
実際に自分史を書くとき、多くの方が「何から始めればいいの?」と悩まれます。
ここでは、迷わず進められる実践的な4つのステップをご紹介します。
ステップ1:思い出の材料集め(2週間)
まずは「宝探し」から始めましょう
写真を集める(3日間)
- 古いアルバムを全部出して、気になる写真にふせんを貼る
- 家族に「昔の写真ない?」と声をかける
- スマホで写真を撮っておく(後で文章と組み合わせやすい)
簡単な年表を作る(2日間)
例:田中太郎さん(75歳)の場合 1948年(0歳):東京生まれ 1955年(7歳):小学校入学、引っ越し 1967年(19歳):大学入学 1973年(25歳):就職、一人暮らし開始 1976年(28歳):結婚 1978年(30歳):長男誕生 ...
家族に質問する(1週間)
聞きやすい質問から始めてみてください:
- 「昔、私はどんな子どもだった?」
- 「一番印象に残ってる私のエピソードは?」
- 「私と初めて会った時の印象は?」
記憶のメモ作り(残り時間)
写真を見ながら思い出したことを、スマホのメモやノートに書き留める。
完璧な文章でなくて大丈夫です。
ステップ2:書く内容を決める(1週間)
「何を書くか」より「誰に伝えるか」を考える
章立てを決める
家族のことを考えながら、5-6章に分けてみましょう:
パターンA(年代順)
- 第1章:子ども時代の思い出
- 第2章:青春時代と出会い
- 第3章:結婚・子育て
- 第4章:仕事で学んだこと
- 第5章:家族への感謝とメッセージ
パターンB(テーマ別)
- 第1章:家族のこと
- 第2章:仕事のこと
- 第3章:失敗から学んだこと
- 第4章:大切な出会い
- 第5章:子どもたちへ
各章で書きたいことを3つずつ決める
第1章:子ども時代の思い出 ①母の手料理で一番好きだったもの ②父と一緒にした思い出 ③兄弟げんかのエピソード
ステップ3:実際に書く(2-3か月)
無理をしない「ちょっとずつ作戦」
書く環境を整える
- 集中できる時間:朝食後30分、または夜9時から30分
- 場所:リビングテーブルでも、書斎でもあなたがリラックスできる場所
- 道具:手書きなら好きなペン、パソコンなら慣れたワープロソフト
書き方のコツ
1日目:思い出話をするように書く
❌ 悪い例 昭和35年4月1日、私は○○小学校に入学した。 |
✅ 良い例 小学校の入学式、母が作ってくれた真っ赤なランドセルを背負って写真を撮ったのを覚えています。 |
困った時の解決法
- 書くことがない時→写真を1枚見て、5分だけ思い出を書く
- 文章が下手な時→家族に話すように、声に出して書く
- 記憶があいまいな時→「確かではないけれど、たぶん○○だったと思います」でOK
週のリズムを作る
- 月・水・金:新しいエピソードを書く(30分)
- 日曜日:今週書いたものを読み返す(15分)
1章書けたら、家族に読んでもらう
「どう?面白い?」と気軽に聞いてみてください。
家族の反応が次を書くエネルギーになります。
ステップ4:完成させる(3週間)
最後の仕上げで「家族の宝物」に
自分でチェックする(1週間)
- 読み返して誤字・脱字を直す
- 年齢や年代に間違いがないか確認
- 家族一人ひとりの名前が出てくるか確認
家族に最終チェックをお願いする(1週間)
「間違いがないか見てもらえる?」と頼んでみてください。
きっと喜んで読んでくれるはずです。
形にする(1週間)
- 手書きの場合:きれいなファイルにとじる、コピーを作る
- パソコンの場合:プリントアウトして製本、PDFでも保存
- 写真:文章と一緒に見られるように配置
よくある不安とその解決策
自分史を書き始めようとすると、多くの方が同じような不安や疑問を抱えます。
「文章が下手だから恥ずかしい」「何を書けばいいかわからない」といった気持ちは自然なことです。
ここでは、そんな不安を解消し、安心して書き始められるアドバイスをお伝えします。
「何を書けばいいかわからない」
解決策:まずは「今日一番印象に残っていること」から書き始めてみましょう。そこから関連する過去の思い出を辿っていけば、自然と内容が広がります。
「文章が上手く書けない」
解決策:上手な文章である必要はありません。家族にとって大切なのは、あなたの率直な気持ちです。「話すように書く」ことを心がけてください。
「恥ずかしいことも多い」
解決策:失敗や恥ずかしい経験も、あなたの人生の大切な一部です。それらをどう乗り越えたかを書くことで、家族にとって励みになります。
まとめ:あなただけの人生物語を残そう
自分史は、あなたが生きた証であり、家族への最後の贈り物です。完璧である必要はありません。大切なのは、あなたらしさが伝わることです。
今日から小さな一歩を踏み出してみませんか。
あなたの人生は、きっと誰かにとってかけがえのない宝物になります。その物語を、ぜひあなた自身の手で残してください。
この記事があなたの自分史作成の第一歩になることを心から願っています。