葬儀の準備をする中で、多くの人が最も気になるのが「費用の相場」です。
実際、葬儀には予想以上の出費が発生することもあります。
本記事では、一般的な葬儀費用の平均額や内訳、費用を抑えるための工夫について詳しく解説します。
初めて葬儀を手配する方でも安心して読めるよう、分かりやすくまとめました。
目次
葬儀費用の相場と詳細な内訳

葬儀形式別の費用相場
葬儀費用は選択する形式によって大きく異なります。各種調査データによると、形式別の相場は以下の通りです:
- 一般葬:120〜160万円(通夜・告別式あり、一般参列者も受け入れ)
- 家族葬:80〜120万円(親族・親しい友人のみで実施)
- 一日葬:60〜90万円(通夜を省略し、告別式のみ実施)
- 直葬(火葬式):20〜50万円(通夜・告別式を省略し、火葬のみ)
参考:鎌倉新書「第6回お葬式に関する全国調査」(2024年)、全日本葬祭業協同組合連合会調査データ
参列者数別の費用目安
- 30名以下(家族葬):80〜120万円
- 50名程度:120〜150万円
- 100名程度:150〜200万円
- 100名以上:200万円〜
葬儀費用の詳細な内訳
葬儀費用は主に3つの要素で構成されます:
- 葬儀一式費用(30〜140万円)
- 斎場利用料、祭壇・花輪装飾
- 棺・骨壺、遺影写真
- 霊柩車・マイクロバス、火葬料
- 飲食・接待費(30〜70万円)
- 通夜振る舞い、精進落とし
- 香典返し(返礼品)
- 親族の宿泊費など
- 宗教者への謝礼(15〜50万円)
- お布施、戒名料
- お車代・お食事代
葬儀費用が高額になる理由と落とし穴

急な手配で比較検討の時間がない
多くの場合、葬儀は突然必要になるため、複数の葬儀社を比較検討する余裕がありません。結果として、病院から紹介された葬儀社にそのまま依頼してしまい、後から「もっと安い選択肢があった」と後悔するケースも。
見積もりの「基本プラン」に注意
「基本プラン○○万円」と提示されていても、実際には以下のような追加費用が発生する場合があります:
- ドライアイスの追加料金(1日5,000〜10,000円)
- 棺のグレードアップ(+10〜50万円)
- 花輪・生花の追加(1基2〜5万円)
- マイクロバスの追加(1台3〜5万円)
- 返礼品の追加(1個500〜2,000円)
失敗しない葬儀社選びのポイント

見積もり取得時の必須チェック項目
- 明細の透明性を確認
- 基本料金に含まれる内容を確認
- 追加費用が発生する項目の説明
- 支払い方法と期限
- キャンセル料の有無と条件
担当者の対応をチェック
- 遺族の気持ちに寄り添った対応か
- 低予算プランでも丁寧に対応してくれるか
- 質問に対して明確に答えてくれるか
相見積もりの取り方
最低でも2〜3社から同条件で見積もりを取得しましょう。冷静に判断するためにも、時間に余裕のある「生前相談」の活用がおすすめです。
参考:一般社団法人全日本冠婚葬祭互助協会、消費者庁「葬儀サービスの取引に関する調査報告書」
葬儀費用を抑える具体的な方法

葬儀形式の見直し
- 直葬・家族葬の検討:規模を縮小することで費用を大幅に削減可能。
- 一日葬:通夜を省略することで、会場費や飲食費を3〜5割削減できます。
会場選びで費用を抑える
- 公営斎場の利用:民間より安価で、設備も十分。住民割引も。
- 自宅葬:住環境が許せば、会場費をほぼゼロにできます。
参考:厚生労働省「火葬場の設置・運営状況」
その他の節約術
- 花輪・生花は親族からのみに限定、季節の花でコストダウン
- 返礼品はまとめて購入し単価を下げる
- 飲食は参列者数を正確に把握し、地元の仕出し店を活用
葬儀費用の準備と支払い方法
生命保険の活用
- 死亡保険金の受取を葬儀費用に充当
- 即日支払サービスを活用できる保険も
参考:生命保険協会「生命保険の動向」
支払い方法の選択肢
- 一括払い:現金・銀行振込・クレジットカード(非対応業者あり)
- 分割払い:葬儀ローン、カード分割・リボ払い
相続財産からの支出
葬儀費用は相続財産から支出することが可能です。ただし以下に注意:
- 相続人間での合意が必要
- 適正な金額での支出(過度な豪華さは不可)
- 領収書の保管(相続税申告で必要)
参考:国税庁「相続税法基本通達」、最高裁判所判例
葬儀費用で後悔しないためのチェックリスト
事前にできる準備
- 家族で希望する葬儀形式を話し合う
- 地域の公営斎場の料金を調査
- 複数社から資料を取り寄せ
- 生命保険の内容と受取人を確認
- 概算費用の準備
葬儀社との契約前に確認すべき項目
- 見積もり内訳が明確か
- 追加費用の説明があるか
- 支払い方法と期限の確認
- 担当者の対応が誠実か
- 会社の信頼性(口コミ・年数)
契約後の注意点
- 契約書の内容を再確認
- 変更点は必ず書面で確認
- 当日の進行を事前に打ち合わせ
- 支払い準備を整えておく
まとめ:心のこもった葬儀を適正価格で実現するために
葬儀費用は決して安くありませんが、事前の準備と正しい知識があれば、予算内で故人にふさわしい心のこもった葬儀を実現できます。
重要なポイント
- 費用相場:形式により40〜160万円と大きく異なる
- 内訳理解:「葬儀一式」「飲食・接待」「宗教者への謝礼」の3要素
- 費用削減:形式の見直し、公営斎場の活用、相見積もり
- 事前準備:生命保険の確認、家族との話し合い、葬儀社相談
突然の別れに直面したとき、費用の心配で故人との最後の時間を十分に過ごせないことがないよう、今のうちから準備を進めておくことをお勧めします。